地に足をつけて生きられない現代人へ~ある植物写真家の提言

科学技術は日々進歩し、私達の暮らしは便利で快適になっている。一方で、人間関係は希薄になった。人とかかわらなくてもそこそこ行きていけるからだ。スマホやSNSなどのITでつながれたような気がしても、ちょっと何かが起こるだけですぐに切れてしまうか細い絆でしかない。

絆や愛がもてはやされるのは、貴金属と同様にこの世の中では希少なものだから。必然的に、獲得できる人の数は少なくなる。対人関係で悩む人が量産される。レア物を求めて争ったり負けて苦しんだりする人々を見ているのはしのびない。誰もが入手できる、愛や絆に代わる何かはないものか。

あった。それを紹介してくれるのは、写真家の伊沢正名氏が著した一冊の書籍。『葉っぱのぐそをはじめよう』(山と渓谷社)というタイトルだ。「葉っぱの、ぐそ」ではなく、「葉っぱ・のぐそ」である。伊沢氏によれば、ノグソというのは野外で排便をすることらしい。野外で排尿することはノシッコと定義されている。

トイレでもたまにトイレットペーパーが無い場合はあるが、野外では常にトイレットペーパーが無い。犬や猫などの動物は、排便しても糞は尻にくっつかない。腸の一部が外部に飛び出すからだ。しかし人間は違う。トイレットペーパーが無ければ、トイレットペーパー以外のものでおしりをふかなければならない。

伊沢氏のオススメは葉っぱだ。野外には植物がある。葉っぱならふいたあとそのまま捨てても自然にかえる。いろいろな植物があるので、それぞれ違ったふき心地も楽しめる。ただ、中には固くて痛かったり毒を持っていたりする葉もあるので注意が必要だ。伊沢氏の本では、多種多様のおしりふき用葉っぱが写真付きで掲載されている。

「葉っぱなんかでちゃんとふけるの?」と疑問に思う人がいるかもしれない。大丈夫、ちゃんとふける。伊沢氏は、この16年の間にトイレで排便をした回数は9回だけだという。ノグソ回数が9回なのではない。ノグソ以外の回数が9回だ。もしも葉っぱでちゃんとふけないのだとしたら、累計1万3600回以上のノグソを実行してきた伊沢氏のおしりはとんでもないことになっているはず。

伊沢氏はなぜここまでノグソにこだわるのか。それは、地球を守りたいからだ。日光を浴びる植物。植物を食べる動物。動植物を食べる人間。……でも、人間を食べる者はいない。人間が作り出す糞尿を土にかえして、土中の昆虫や微生物により分解してもらうことで初めて、人間も自然の一部に組みこまれる。大地と、地球と一体化できる。

いつ疎遠になるかわからない友達、信用できない恋人、好きじゃない家族など、表層的な人間関係にほんろうされて苦しんでいる現代人たち。ありそうもない真実の絆や愛にすがるよりも、足元の地面を見よう。地に足をつけて肛門を露出し思いっきり脱糞しよう。あなたが地球を守れば、地球は必ずあなたを守ってくれる。

画像:『無料の写真 – Pixabay』
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