『アナと雪の女王』人を信じて裏切られるアナにこそ真実の愛が訪れる

 

2017年3月4日21:00から、フジテレビ『土曜プレミアム』で、地上波では初めてディズニーアニメ映画『アナと雪の女王』が放送された。アナとエルサの仲良し姉妹が、アナの結婚をめぐって仲違いするも最終的に仲直りするというストーリー。女優で歌手の松たか子(39)が歌う『レット・イット・ゴー~ありのままで~』以外にも、要所要所でその場面に合った歌を登場人物が歌い出すというミュージカル仕立ての作品だ。

映画内の歌は聞いたことがあっても映画自体は見ていないという人は、『レット・イット・ゴー』が歌われるシーンに少なからず違和感を覚えたかもしれない。歌だけを聞いていたときには、とても明るくポジティブな歌のように思っていた。しかし映画内でこれが歌われるのは、エルサがアナを残して一人で逃げ出す場面なのだ。一体どういうことか。

エルサは妹のアナを心の底から愛している。だからこそ、逃げ出した。大事なアナを傷つけたくないから。――このように言えば美しく聞こえる。しかし実際は、エルサは自分のためにアナを置いて逃げた。常にアナを心配し続けなければならない苦しみから解放され、やっとありのままの自分で生きられるようになった。この切実な喜びを『レット・イット・ゴー』は表現していたのだ。

自分を捨てた姉のエルサを、それでもアナは恨んでいない。結婚に反対されたのは不満だが、それしきのことで姉妹の絆が壊れるとは思っていない。アナの持つ、人を信頼する力がこの映画のポイントである。アナは会ったばかりの王子と結婚を決めた。ここでも相手を信頼している。

あとでアナは王子から裏切られるが、「だからエルサの言ったとおりにしておけば良かったのに……」と思うのは大間違いだ。王子が自らの裏切りを告白した場面を思い出してほしい。アナは王子を全面的に信頼し、その気持ちを全力で王子にぶつけていた。

心底相手を信頼し、自分の全てをさらけ出すことによって初めて、相手の本心を知ることができる。この王子の本心は黒かったが、エルサの本心は白かった。自分を嫌っているように見えた姉のエルサにも、心を許して全力で向きあっていくことで、アナは真実の愛に触れることができた。

だまされたくない、傷つきたくないからと言って、人を信頼することをちゅうちょしていたら、真実の愛に触れることはできない。王子を信用していなかったエルサは、アナのことも信頼していなかった。自分がいれば妹を傷つけてしまう……一人で閉じこもり、孤独な一生を送ろうとしていた。そんなエルサを、アナが救った。

アナは強かった。人を信じられる強さを持っていた。裏切られても立ち上がれる強さを持ったアナは、エルサのせいで傷つけられることなどない。そのアナの強さを信じられなかったから、エルサは逃げるしかなかった。しかし最後にエルサはアナの強さを理解し、アナを信頼して共に暮らす道を選んだ。エルサも強くなったのだ。

人間関係において疑心暗鬼にさいなまれ疲れ果てている現代人は多い。閉じこもって自分一人でいれば、確かに雪の女王のようにありのままでいられるだろう。しかし、本当にそれで満足できるわけではない。本人が一番よくわかっている。人を信じることができる人だけが真実の愛を手に入れられるということを。

画像:『無料の写真 – Pixabay』
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