東野圭吾『白夜行』の魔法は『幻夜』で解ける

遅ればせながら、東野圭吾の小説『白夜行』を読みました。賢い少年と美しい少女が主人公で、二人が大人になるあたりまでの成長が語られています。

小学生だった彼らが住んでいた街で、殺人事件が発生します。犯人は捕まりましたが、一人の刑事だけはまだ納得しておらず、個人的に捜査を続けます。

月日は流れ、少女はますます美しくなっていきます。でも、彼女のいるところ大小様々の事件が発生し、それらに少年がかかわっている気配も感じられます。

二人が直接やりとりする場面はほとんど描かれていません。互いの関係は間接的に推し量れるのみ。それがなんだか不気味です。

もともと貧しい家庭に生まれた少女は、大人になってからはとても裕福になります。そうなるために、散々悪事を働いてきたようです。少年を実行犯に使って。

犯行場面が直接描かれないことが、こんなに薄気味悪さをかき立てるとは…… 背筋が寒くなるような面白い小説でした。

筆者はすぐに図書館へ行き、続編の『幻夜』を読みました。同じ美しい女性が登場しますが、こちらでは彼女と男性とが卑近な言葉づかいで悪巧みをする場面も描かれていて、「あ~、『白夜行』のときもこんな感じだったのかな~」と想像できるようになりました。

でも、そのせいで、『白夜行』の神秘的な魅力が損なわれてしまいました。わからなかったときは、わかりたいと思ったのです。それなのに、わかったとたん、なんだか幻滅のようなものを感じちゃいました。小説に対してではなく、登場人物の生き様に対して。

『幻夜』のおかげで魔法が解けて、ようやく本当に『白夜行』を読み終わったのだと思えました。

画像:『flickr』
https://www.flickr.com/photos/amadeusrecord/5679545053/

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