『嫌われる勇気』の”ナチュラルボーンアドラー”が、はた迷惑すぎる件

フジテレビで毎週木曜22時放送の連続ドラマ『嫌われる勇気』。第一回が2017年1月12日に放送された。アドラー心理学を解説した書籍『嫌われる勇気』(2013年出版。岸見一郎・古賀史健著)のエッセンスをベースに、刑事モノを肉づけしてドラマ化した作品だ。

書籍版『嫌われる勇気』では、青年と哲学者の対話を通してアドラー心理学の真髄を垣間見ることができる。アドラー心理学とは、ラットで実験するような心理学とは異なり、日常生活の中で人間関係の問題を改善し、自分が幸せになれるようにするためのもの。学問というよりは考えかた、生きかたというイメージを持たれることもあるほどだ。

アドラー心理学を具体的に知りたいなら、香里奈(32)演じる女刑事・庵堂蘭子の言動を見るといい。彼女は人からどう思われようとも気にしない。気を使って周りに合わせるとか空気を読むということをせず、自分の言いたいことを言い、したいことをする。その傍若無人さに、加藤シゲアキ(29)演じる同僚刑事・青山年雄はハラハラさせられっぱなしだ。

庵堂のように生きられれば、確かに楽しいかもしれない。しかし、多くの視聴者は彼女のようには生きられていない。常に周囲に気を配り、なるべく嫌われないように、願わくば好かれるように振る舞うことで頭がいっぱいだ。そんなに注意しているにもかかわらず、実際にはあまり好かれなかったり、意外と嫌われてしまったりすることも少なくない。

なぜ庵堂はそこまで完璧にアドラー心理学を実践できているのか。設定では、先天的なものということになっていて、彼女は”ナチュラルボーンアドラー”と呼ばれている。”ナチュラルボーンアドラー”なら、何も我慢することなく、何でも好き放題にできる。そんな幸せな人生は他にはないだろう。しかし、周りの人はどうか。

一生懸命がんばって雰囲気を良くしようとしているのに、一人の”ナチュラルボーンアドラー”のせいで台無し。周囲に迷惑をかける”ナチュラルボーンアドラー”に、親身になって助言してもどこ吹く風。庵堂の言動に耐えかねて、青山は彼女とのコンビ解消を願い出る。それほどまで嫌われているのに、庵堂はもちろん動じない。さすが『嫌われる勇気』である。

庵堂の場合は生まれつきなので、努力したり勇気を出したりしたわけではない。しかし、普通の人間は後天的に身につける必要がある。努力してアドラー心理学を学び、そして嫌われる勇気を出さなければならない。迷惑をかけられる側ではなく、迷惑をかける側……勇気を出してポジションを入れ替えれば、180度異なる幸せな人生が手に入るだろう。

画像:『嫌われる勇気 – フジテレビ』
http://www.fujitv.co.jp/kira-yu/

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